家族の思い出が詰まった家も、空き家としてずっと残すわけにはいかない。そんな人が直面する「家じまい」。多くの家財は処分を余儀なくされるが、地域の暮らしを伝える資料として残せるものもあるのでは。そうした思いで、博物館に調査や提供を申し出る人たちがいる。
高松市の五色台山上にある瀬戸内海歴史民俗資料館(れきみん)でこの夏、「家じまい」をテーマにした企画展が催されている。
銀行員が顧客に配った販売促進用品のふきん、1972~2016年の家計簿、戦前のシンガポールで生活していた親戚の写真――。空き家で収集された約200点が、保存されていた状況や資料価値の説明文とともに展示されていた。
調査・収集に携わった同館専門職員の田井静明さんは、この5年ほどで約20軒の空き家に出向いた。
遺品整理で「何でも持っていって」
同館は瀬戸内の歴史や文化を…